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遺産承継業務、誰に頼む?まずは全体像を把握しよう
ご家族が亡くなられた後は、比較的短い期間で相続手続きを進める必要があります。「戸籍を集めて、銀行口座を解約して、不動産の名義を変えて…」と、必要な手続きは多岐にわたります。何から手をつければ良いのか、誰に相談すれば良いのか分からず、途方に暮れてしまう方も少なくありません。
この記事では、相続手続きの全体像と、それぞれの専門家の役割を整理します。ご自身の状況に合う相談先を検討する際の参考にしてください。
まず「遺産承継業務」とは、亡くなった方(被相続人)の財産を相続人へ引き継ぐための一連の手続きをまとめた呼び方です。具体的には、以下のような多岐にわたる作業が含まれます。
- 相続人の確定(戸籍謄本などの収集)
- 相続財産の調査(預貯金、不動産、有価証券などの洗い出し)
- 遺産分割協議書の作成
- 預貯金の解約・名義変更
- 不動産の名義変更(相続登記)
- 株式など有価証券の名義変更
- 相続税の申告・納付
この記事で比較する専門家たちは、これらの手続きの専門家です。しかし、それぞれに得意分野や法律で定められた業務範囲があります。この違いを理解することが、最適な依頼先を見つける第一歩となります。このテーマの全体像については、遺産承継業務の全体像で体系的に解説しています。
【比較表】遺産承継業務の依頼先5者をひと目でチェック
相続手続きを依頼できる専門家や機関はいくつかありますが、代表的なのは弁護士、司法書士、行政書士、税理士、そして信託銀行です。まずは、それぞれの特徴を一覧で確認し、大まかな違いを掴んでみましょう。

| 弁護士 | 司法書士 | 行政書士 | 税理士 | 信託銀行 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 主な業務範囲 | 相続全般、紛争解決 | 不動産登記、相続手続き全般 | 書類作成(遺産分割協議書など) | 相続税申告、税務相談 | 相続手続き全般(窓口業務) |
| 得意なケース | 相続人間で争いがある | 不動産を含み、争いのない相続 | 不動産がなく、争いのない相続 | 相続税申告が必要 | 財産が多く、丸ごと任せたい |
| 費用相場(目安) | 高額(着手金+成功報酬) | 中程度(30万円~) | 比較的安価(15万円~) | 中~高額(遺産総額の0.5~1%) | 非常に高額(最低100万円~) |
| 紛争対応 | ◎ 可能 | × 不可 | × 不可 | × 不可 | × 不可(弁護士紹介) |
| 不動産登記 | △ 提携司法書士へ依頼 | ◎ 可能 | × 不可 | △ 提携司法書士へ依頼 | △ 提携司法書士へ依頼 |
| 相続税申告 | △ 通知弁護士は可能/通常は税理士連携 | △ 提携税理士へ依頼 | × 不可 | ◎ 可能 | △ 提携税理士へ依頼 |
※費用はあくまで一般的な目安であり、財産の内容や相続人の数によって変動します。正確な料金については、個別にご確認ください。
依頼先候補それぞれのメリット・デメリットを深掘り解説
比較表で大枠を掴んだところで、次に各専門家・機関の具体的な強みと注意点を詳しく見ていきましょう。各専門家・機関の特徴が、ご自身の状況に合うか確認してみてください。
【紛争解決のプロ】弁護士
メリット:
弁護士に依頼する最大のメリットは、相続人間のトラブル、つまり「争い」に対応できる唯一の専門家である点です。遺産の分け方で揉めている、特定の相続人と連絡が取れないといった場合に、代理人として他の相続人と交渉したり、家庭裁判所での調停や審判手続きを進めたりすることができます。すでに紛争が起きている、あるいは起きる可能性が高い場合には、弁護士への相談が適しています。こうした状況では、遺産分割の対象財産を法的に確定させるプロセスが重要になります。
デメリット:
一方で、費用が他の専門家と比較して高額になる傾向があります。多くの場合、「着手金」と遺産分割で得られた経済的利益に応じた「成功報酬」が必要となるため、総額が数百万円にのぼることも珍しくありません。そのため、特に争いがないケースでは、費用面でオーバースペックになってしまう可能性があります。
【手続きと登記の専門家】司法書士
メリット:
司法書士の大きな強みは、不動産の名義変更(相続登記)について、権利に関する登記申請手続の代理を業として扱える点です。相続財産に不動産が含まれる場合、相続登記は避けて通れません。その上で、預貯金の解約や株式の名義変更といった、その他の面倒な手続きもまとめて代行する「遺産承継業務」を一括で依頼できます。紛争性のない相続手続きであれば、司法書士が窓口となることで、スムーズに全体を進めることが可能です。
デメリット:
弁護士と違い、相続人間の紛争に代理人として介入することはできません。もし手続きの途中で争いが発生した場合は、弁護士に対応を依頼する必要があります。また、相続税の申告は税理士の独占業務であるため、申告が必要な場合は別途税理士への依頼が必要です。ただし、信頼できる税理士と連携している司法書士事務所であれば、窓口一つで対応してくれる場合がほとんどです。具体的な相続時の銀行・証券口座手続きについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
【書類作成の専門家】行政書士
メリット:
行政書士は、遺産分割協議書の作成や、相続財産に自動車が含まれる場合の名義変更など、官公署へ提出する書類作成の専門家です。費用が他の専門家と比べて比較的安価な傾向にあるのが魅力です。
デメリット:
対応できる業務範囲が限定的である点が最大のデメリットです。不動産の相続登記や、相続人間の紛争対応、相続税の申告は行政書士の業務範囲外となります。そのため、相続財産に不動産がなく、相続税もかからず、相続人間で全く揉めていない、といった非常にシンプルなケースでの選択肢と言えるでしょう。
【相続税の専門家】税理士
メリット:
税理士は、その名の通り「税金」の専門家です。相続税申告を専門家に依頼する場合は、税理士等の税理士業務を行える専門家に依頼します。正味の遺産額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合には、相続税の申告が必要になることがあります。正確な財産評価に基づいた申告書の作成はもちろん、特例を活用した節税対策や、将来の税務調査への対応など、税務に関するあらゆる面で頼りになります。相続税の計算には、正確な不動産評価額の確認方法を理解することが重要です。
デメリット:
相続税申告以外の相続手続きは専門外です。不動産の相続登記や預貯金の解約などは、別途司法書士などへ依頼する必要があります。そのため、相続税申告とそれ以外の手続きを、それぞれ別の専門家に依頼する手間が発生します。
【富裕層向けサービス】信託銀行
メリット:
信託銀行などが提供する「遺産整理業務」は、一つの窓口で相続に関するあらゆる手続きを任せられるのが最大のメリットです。担当者が付き、必要な専門家(司法書士、税理士、弁護士)の手配もすべて行ってくれるため、依頼者は手間をかけることなく手続きを完了できます。金融機関としての信頼性や安心感も大きな魅力でしょう。
デメリット:
最大のデメリットは、費用が非常に高額であることです。多くの場合、最低報酬が100万円以上に設定されており、遺産総額に比例して手数料も高くなります。基本的には、多額の金融資産を持つ富裕層向けのサービスと位置づけられています。
あなたの状況はどれ?ケース別・最適な依頼先の選び方
ここまで見てきた各専門家の特徴を踏まえ、具体的な状況別に最適な依頼先を考えてみましょう。ご自身のケースに最も近いものを見つけてください。

ケース1:相続人同士で揉めている、または揉めそうな場合
→ 弁護士への相談を優先
代理人による交渉や法的手続きを希望する場合は、弁護士への相談が基本となります。紛争化する可能性がある段階で相談することで、感情的な対立を抑えながら対応方針を検討しやすくなります。
ケース2:揉めてはいないが、不動産や預貯金の手続きが複雑な場合
→ 「司法書士」が最適
相続財産に不動産があり、預貯金や株式など手続きが多岐にわたるけれど、相続人間での争いはない。このようなケースでは、「司法書士」が中心となって進めることで効率的に対応しやすい場合があります。不動産の相続登記はもちろん、面倒な金融機関の手続きも「遺産承継業務」としてまとめて任せられます。もし相続税申告が必要な場合でも、司法書士が窓口となり、提携している税理士と連携して進めてくれるため、依頼者が複数の専門家とやり取りする手間を省けます。
ケース3:相続税の申告が明らかに必要で、財産額が大きい場合
→ まずは「税理士」へ相談を
遺産総額が大きく、明らかに相続税の申告が必要な場合は、まず「税理士」に相談するのがスタート地点となります。正確な財産評価と節税対策が最優先課題となるからです。その上で、不動産登記は司法書士、預貯金解約は司法書士など、税理士を窓口として他の専門家と連携していくのが一般的な流れです。
ケース4:財産は預貯金と車のみで、相続人も少なく円満な場合
→ 「行政書士」または「司法書士」へ
不動産がなく、相続税もかからないシンプルなケースでは、「行政書士」に遺産分割協議書の作成などを依頼すると費用を抑えられる可能性があります。あるいは、司法書士事務所でも預金口座の凍結解除など、必要な手続きだけを部分的に依頼することも可能です。どちらがご自身のケースに適しているか、一度相談してみると良いでしょう。
結論:費用対効果で選ぶなら司法書士が最適な理由
ここまで様々な専門家を比較してきましたが、「争いはないけれど、手続きはきちんと専門家に任せたい」という大多数の方にとって、最もバランスが良く、費用対効果に優れた選択肢は「司法書士」であると、私たちは考えています。
その理由は、相続手続きにおいて重要な不動産登記を直接扱えることに加え、預貯金解約などの広範な手続きをカバーできるからです。
例えば、行政書士に依頼した場合、費用は安価に見えるかもしれませんが、不動産登記が必要になれば別途司法書士を探さなければならず、結果的に手間も費用もかさんでしまうことがあります。
また、弁護士への依頼は、円満に話し合えるはずの親族間でさえ「何か争うつもりなのだろうか?」と相手を身構えさせてしまい、かえって対立が深まる可能性があります。もちろん、すでに紛争が起きている場合は別ですが、平和的な解決を目指すのであれば、初めから弁護士に依頼するのは慎重になるべきでしょう。
信託銀行のサービスは非常に便利ですが、やはり高額な手数料が負担になる場合があります。よほどの富裕層でなければ、その費用に見合うメリットを感じるのは難しいかもしれません。
その点、司法書士は、紛争性のない手続き全般をワンストップでサポートし、弁護士や信託銀行ほど高額な費用はかかりません。相続税申告が必要な場合も、提携税理士と連携することで窓口一つで対応できます。このように、外注を最小限に抑え、依頼者の負担を減らしつつ、必要に応じて他士業と連携しながら、依頼内容に応じた費用で相続手続きを支援できる点が、司法書士事務所に相談するメリットです。当事務所では様々な対応業務を行っております。
八戸市の遺産承継業務は、八戸いちい事務所にご相談ください
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。八戸いちい事務所は、司法書士と行政書士の資格を持つ代表が、直接皆様のご相談を承ります。
私は、法律事務所での13年間の勤務経験で、多くのトラブルがこじれてしまう場面を目の当たりにしてきました。その経験から、「争いが起きてから解決する」のではなく、「争いを未然に防ぎ、平和的に手続きを進める」ことの重要性を強く感じています。
当事務所は、司法書士・行政書士のダブルライセンスに加え、地域の信頼できる弁護士や税理士とも緊密に連携しています。そのため、不動産登記や遺産分割協議書の作成を当事務所で対応し、税務相談が必要な場合は税理士、紛争対応が必要な場合は弁護士と連携して進められる体制を整えています。
「何から相談していいか分からない」「うちの場合は誰に頼むのがベストなの?」そんな漠然としたご不安を抱えたままで構いません。まずはお気軽にお話をお聞かせください。初回のご相談は無料です。相続手続きについて相談しやすい法律専門職として、丁寧に対応いたします。
八戸市とその近郊で相続手続きにお悩みの方は、ぜひ一度、八戸いちい事務所までご連絡ください。
