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法人の本店移転後、不動産登記の住所変更を忘れていませんか?
法人の本店を移転する際、法務局で商業登記の変更手続きを済ませ、「これで一安心」と思われている総務・法務担当者の方も多いのではないでしょうか。しかし、もう一つ、忘れてはならない大切な手続きがあります。それは、会社が所有する不動産の登記簿に記載された、会社の住所を変更する手続きです。
日々の業務に追われる中で、不動産の登記まで手が回らなかった、というケースは決して珍しくありません。ところが、2026年4月1日から、この不動産登記の住所変更が法律上の義務となり、怠ると過料(罰則)が科される可能性も出てきました。
「うちの会社も対象かもしれない…」「手続きが面倒そうだ…」とご不安に思われたかもしれません。ですが、ご安心ください。特に法人の場合、この手続きの手間と費用を大幅に削減できる、非常に賢い方法が用意されているのです。この記事では、商業登記は完了しているものの、不動産登記の住所が古いままになっている法人様向けに、最も効率的な解決策を専門家が分かりやすく解説していきます。
住所変更登記義務化と「スマート変更登記」の基本
まず、今回の法改正の全体像を把握しておきましょう。個人の住所変更と法人の本店移転では、手続きの考え方が少し異なります。個人の場合は「検索用情報の申出」という制度がポイントになりますが、法人の場合は「会社法人等番号」が手続きを簡略化する鍵となります。この違いを理解することが、無駄のない手続きへの第一歩です。

2026年4月1日から!住所変更登記は「義務」になりました
これまで任意だった不動産の登記名義人の住所変更手続きは、2026年4月1日から法律上の義務となりました。具体的には、住所や本店所在地に変更があった日から「2年以内」に登記申請をしなければなりません。
もし、正当な理由なくこの義務を怠った場合、「5万円以下の過料」という罰則が科される可能性があります。とはいえ、制度を正しく理解し、適切な対応をとれば、過料を心配する必要はありません。この義務化は、不動産取引の安全性を高めるための重要なルール変更なのです。
法人の手続きを自動化する「スマート変更登記」とは?
ここで、法人の担当者様が確認しておきたい制度が「スマート変更登記」です。これは、不動産の所有権の登記事項として会社法人等番号が記録されている法人について、本店移転や商号変更の商業登記がされた場合に、法務局がその情報を確認し、職権で不動産登記上の名称・住所を変更する制度です。法人のスマート変更登記による職権変更登記は、令和8年5月15日から開始されています。
この自動連携で重要となるのが、法人に割り当てられた「会社法人等番号」です。この番号が不動産登記にも記録されていれば、商業登記の変更情報と不動産登記の情報が紐づけられ、将来、本店移転や商号変更をするたびに不動産の住所変更登記を申請する必要がなくなります。将来の本店移転や商号変更の際に、不動産ごとの住所等変更登記申請の負担を大きく軽減できる、法人ならではのメリットと言えるでしょう。
商業登記は完了済!未了の不動産登記を解決する3ステップ
それでは、この記事の本題です。「商業登記の本店移転は済んでいるけれど、不動産登記の住所は古いまま…」という状況を解決するための具体的なアクションプランを、3つのステップに分けてご紹介します。この流れで確認すれば、必要な手続きを整理し、費用と手間を抑えながら義務化への対応を進めやすくなります。
ステップ1:所有不動産の登記情報を確認する
まず最初に行うべきは、現状把握です。会社が所有しているすべての不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)を取得し、以下の2点を確認してください。
- 所有者として記録されている会社の住所は、現在の本店所在地か?
- 所有者の記録に「会社法人等番号」が記載されているか?
登記内容は、法務局の窓口で登記事項証明書を取得するほか、オンラインの「登記情報提供サービス」を利用して、事務所にいながら確認することもできます。なお、登記情報提供サービスでは登記事項証明書そのものは交付されないため、証明書が必要な場合はオンラインによる証明書交付請求等を利用します。このステップで、古い登記簿上の住所と現状を正確に把握することが、次のステップへの重要な準備となります。
ステップ2:「会社法人等番号の申出」で将来の手間をゼロに
ステップ1で確認した結果、もし不動産登記に「会社法人等番号」が記録されていなかった場合、この手続きが最も重要になります。法務局に対し、「この不動産の所有者である法人の番号はこれです」と申し出る手続き、それが「会社法人等番号の申出」です。
この申出を一度行い、番号が登記に記録されれば、前述の「スマート変更登記」の対象となります。つまり、将来の本店移転や商号変更の際には、法務局が自動で不動産登記の情報を更新してくれるようになるのです。この申出自体は非課税で行うことができ、将来の本店移転や商号変更の際に、不動産ごとの住所等変更登記申請に伴う手間や費用の負担を軽減できる可能性があります。

ステップ3:現在の住所への変更登記を申請する
最後に、過去の変更履歴を正しく登記に反映させます。つまり、登記簿に記録されている古い本店所在地から、現在の本店所在地までの変遷を登記する「登記名義人住所変更登記」を申請します。
この住所変更登記の申請は、ステップ2の「会社法人等番号の申出」と同時に行うことができます。これにより、一度の手続きで、過去の未了分を是正し、かつ将来の自動更新の準備も整えることができるため、非常に効率的です。
この登記申請には、登録免許税という税金がかかり、費用は不動産1個につき1,000円です。このステップを完了させることで、登記情報が最新の状態になり、登記義務化への対応がすべて完了します。
こんな時はどうする?法人の住所変更登記Q&A
ここでは、法人の担当者様からよく寄せられる、より具体的なご質問にお答えしていきます。
Q. 複数の不動産を持っています。手続きはまとめてできますか?
A. はい、管轄法務局が同じであれば、一度の申請でまとめて手続きが可能です。
例えば、同じ市区町村内に工場と事務所を所有している場合などは、1通の申請書でまとめて申請できます。ただし、不動産の所在地を管轄する法務局が異なる場合(例:青森市と八戸市にそれぞれ不動産がある場合)は、それぞれの法務局へ個別に申請が必要となります。司法書士にご依頼いただければ、全国の法務局への手続きをワンストップで代行することも可能です。
Q. 合併前の古い会社名義の不動産が残っていました…
A. その場合、まず合併を原因とする「所有権移転登記」が必要です。
M&Aや組織再編などを経験された会社で時折見られるケースです。登記簿の名義が吸収合併される前の旧社名のままになっている場合、単なる住所変更登記だけでは手続きができません。まず、「合併」を原因として、現在の会社へ所有権を移す登記を申請する必要があります。その上で、現在の会社の本店所在地への住所変更登記をあわせて行う流れとなります。これは専門的な判断を要するケースであり、放置してしまうと将来の不動産売却や担保設定の際に大きな障害となりかねません。心当たりのある場合は、お早めに専門家へご相談ください。状況によっては、名義が古いまま放置された不動産は複雑な問題に発展する可能性があります。
Q. 費用はどのくらいかかりますか?
A. 費用の内訳は、主に「登録免許税」と「司法書士報酬」です。
登録免許税:不動産1個につき1,000円です。土地と建物であれば、2個と数えるので2,000円となります。
司法書士報酬:ご依頼いただく場合、数万円程度が目安となります。不動産の数や管轄の数、その他に必要な手続きによって変動しますので、まずはお見積りをご依頼ください。当事務所の料金については、ウェブサイトでもご案内しております。
一度、「会社法人等番号の申出」を済ませてスマート変更登記の対象となれば、将来の本店移転時にこれらの費用はかからなくなります。今回の手続きは、将来のコストを削減するための投資と考えることもできるでしょう。
手続きの放置は禁物!不安な方は専門家へ相談を
法人の不動産登記名義人住所変更は、つい後回しにされがちな手続きです。しかし、義務化された今、手続きを放置しておくことはリスクでしかありません。特に、いざ不動産を売却しようとしたり、事業資金の融資を受けるために担保に設定しようとしたりする段になって、登記上の住所が古いままだと、前提として住所変更登記が必要となり、取引がスムーズに進まない可能性があります。

「所有不動産が多くて自社での対応が難しい」「合併が絡んでいて、どの手続きから手をつければいいか分からない」など、少しでもご不安な点があれば、私たち司法書士にご相談ください。当事務所では、不動産登記や商業登記に関する様々なご相談に対応しております。貴社の状況を確認し、必要な手続きと進め方をご提案いたします。判断に迷う場合は、司法書士への相談をご検討ください。
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