生命保険契約に基づく保険金は、原則的には遺産分割の対象とはなりませんが、受取人の指定の仕方や、請求する権利が満期保険金かどうかなどによって取り扱いが異なります。
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・遺産分割の対象とならない生命保険金
- 受取人を第三者(相続人以外)に指定していた場合
- 受取人を「法定相続人」、「相続人」に指定していた場合
指定された人が一人である場合は、原則的に、その方が固有の財産として取得することになります。したがって、遺産分割の対象とはなりません。
ただし、一部の相続人を受取人として指定した結果、他の相続人が相続する額とかなり差が出てしまうような場合、不公平の度合いが到底是認できないような特別の事情があれば、特別受益に準じて、持ち戻しの対象とされる場合もあります。なお、この請求権は受取人に指定された相続人が相続放棄をしていたとしても受け取ることができます。
また、指定された人が複数の場合、法定相続分の割合で各相続人が取得するものとされ、遺産分割の対象とはなりません。ただし、保険契約の約款により指定されている場合はそれに従います。
・遺産分割の対象となる生命保険金
- 受取人を被相続人としていた場合
- 満期保険金請求権
・手続きに必要となる書類
(保険会社によって、また遺産分割の対象かどうかによっても異なります。)
- 保険証券
- 保険金請求書(各会社所定のもの)
- 被保険者の住民票
- 死亡診断書又は死体検案書
- 受取人の本人確認資料(戸籍抄本等)
- 受取人の印鑑証明書
- 委任状【実印押印】(代理人による場合)
- 遺産分割協議書、相続人の戸籍謄本等
(保険会社や、受取人の指定状況により求められる場合があります。)
・保険金請求の時効について
この請求権の時効は、請求権を行使できる時を起算点として、法律上は、保険法の施行日の平成22年4月1日以降に成立したものは3年、それ以前の契約は2年(改正前商法が適用)となります。ただし、かんぽ生命は5年であったり、保険会社によっては保険契約の約款で異なる期間を定めている場合もありますので、早めに確認しておくことをお勧めします。