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★遺言書がある場合①
(公正証書遺言、または法務局の保管制度により保管された自筆証書遺言)
いずれの方式も、裁判所による検認の必要性はないため、その内容に沿った手続きを進めることになります。
★遺言書がある場合②(①の方式以外の場合)
遺言書の検認を行う必要があります。遺言書の検認手続きは以下のようにしておこなわれます。
・遺言書の検認とは
遺言書の存在は、相続財産の帰属に決定的な影響を持ちます。したがって、遺言書がある場合には、遺言者の最終意思がどのようなものであったかを確実に保持(保全)し、また、利害関係人に対してその内容を覚知させる必要があります。これを実現するための制度として、裁判所における遺言書の検認の制度があります。
遺言書を発見した方は、相続の開始後遅滞なく家庭裁判所に対して検認の請求を行わなければなりません。この義務は公正証書遺言、法務局における保管制度を利用した自筆証書遺言以外のすべての遺言に関して生じます。
また、封印(封がされ、封のところに押印されている)のある遺言書は、家庭裁判所において相続人またはその代理人の立ち合いがなければ、開封することができません。
もし、遺言書の保管者等が遺言書の提出を怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所街で開封をした場合には、5万円以下の過料に処せられる場合がありますので注意が必要です。また、遺言書を故意に隠したりした場合は相続欠格となったり、受遺能力を失ったりする場合もありますので、遺言書の取り扱いには十分注意が必要です。
・遺言の検認の効果
遺言の検認は、遺言の内容自体が有効かどうか判断されるものではなく、相続人らに対して遺言の存在及びその内容をお知らせするとともに、検認の日現在における遺言書の現況を明確にしておくことで、証拠を保全する手続きで、遺言書の偽造、変造を防止するための手続きです。
ですから、検認を経たからといって、その遺言が有効に成立したと推認されるわけではなく、また逆に検認を受けていないことや、先に開封してしまった場合でも、遺言が無効になるわけではありません。
ただし、不動産登記の場面においては、検認を受けていない遺言書を使用して登記申請をした場合却下されますのでご注意ください。
・検認の申立て
検認の申立て手続きは、遺言の保管者または発見者が申立人となって、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して行います。添付書類として、遺言者の戸籍(出生から死亡まで)や相続人全員の戸籍謄本等が必要ですが、遺言書自体は、申立後に指定される検認期日に提出すれば足ります。
・検認期日に行われること
検認期日において、家庭裁判所は遺言の方式に関する一切の事実を調査して、遺言の検認を行います。具体的には、遺言の全文、日付、署名、押印の有無、印影の形、字体、訂正箇所、筆記具の種類、遺言書や封筒に使用された紙の質などです。
このほかに、期日に立ち会った申立人等の関係人の審問などが行われ、出席当事者も遺言書を確認する機会を与えられ、遺言の状況について意見を陳述することができます。
検認手続きが完了すると、結果等について記載された検認調書と呼ばれる書類が作成されます。また、遺言書原本に検認が完了した旨を示す「検認済証」が綴られ、提出者に返還される取り扱いとなっています。
★遺言書がない場合
遺言書がない場合は、相続人の全員で遺産分割協議を行います。
具体的な内容については「遺産分割協議書の作成」をご参照ください。